12.「先生、Bくんがびしょびしょです!」
梅雨時のある日の朝のこと。
私は、いつも教室で子どもたちを迎えるようにしていますが、ある子が血相を変えて私に報告をしてきました。
「先生、Bくんがびしょびしょです!」──一体、何が起こったのか、全く分かりませんでした。
「校庭を見てください。」
その言葉にうながされて2階の窓から見ると──Bが雨の中、傘もささずに走り回っているのです。
雨が降ったのがよほどうれしかったのでしょう。心地よかったのでしょう。
環境の変化に敏感なBらしい。濡れることなどお構いなしです。
他の子はBを取り囲むようにして、その様子を見守っています。
さて、ここで、
「B! 何やっているんですか、早く教室に入りなさい。」──そう言うのは簡単です。しかし、その時は少し静観することにしました。
寒い時期ではないので、風邪をひくことはないだろうし、服が濡れても体育着に着替えればすむことなので。
少しすると、Yという女の子がBのところに近寄っていきました。そして、
「Bくん、びしょびしょですよ。もうやめて、教室に行きなさい。」
まるで、母親が小さい子を諭すよう。その様子があまりにおかしかったので、大笑いしてしまいました。
子どもたちもみんな笑っています。
教室に入ってきたときも大笑い。なにしろ、全身びしょびしょなのですから。
Yには、おかげで助かったとお礼の言葉を伝えました。
この、雨の日に校庭を走り回るのは、その後も何回か続きました。そして、その都度、Yがやさしくたしなめてくれました。そして、みんなで大笑い。
この事件により、Bはおもしろいことをしてくれる──クラスの中でそういう存在になっていきました。 (つづく)
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