№ 266 2025年3月21日
江戸時代中期に活躍した儒学者に、細井平洲という人がいます。米沢藩の名君、上杉鷹山の師としても知られた学者です。
この細井平洲が、教育について、こんなことを言っています。
教育とは、菊好きな人間が菊を作るようにしてはならない。
百姓が、野菜や大根を作るようにすべきなのだ。
なぜ、菊を作るようにしてはならないのでしょうか。
それは、菊を作る人には、自分の理想の「菊」があって、それにあわないもの、欠点が目につくものを摘み取ってしまうからです。2つか3つのつぼみを残して摘み取り、そのうちのたった1つで大輪の花を咲かせます。菊作りには素晴らしい方法でしょうが、子育てにあてはめるのは、大きなマイナスです。
では、農民が野菜を作るときはどうでしょうか。
欠点のあるものを、捨てるということはありません。畝に芽を出したものも、日陰で懸命に育っていくものも、大切に大切に慈しんで育てます。
子育てとは、このように、一人ひとりすべてを大切に育てていくことです。
条件が違っても、相手にあった方法で育てていくことです。
──現代は、江戸時代とは異なり、規格に合わない野菜は排除されるような傾向にあります。曲がったキュウリや大きさの合わないカボチャなどは、廃棄されたりしてしまいます。ですから、この言葉がそのままあてはまるわけではありません。
しかし、この考え方は好きで、いつもかくありたいものだ、「野菜作り」をしたいものだと思っています。
とは言いつつ、実際は「菊作り」をすることが多かったかなと反省しきりの1年間でした。
こんな担任でしたが、子どもたちはいろいろな面でとてもよく頑張ってくれました。教えるべき立場である私が、逆に教えられることもしばしばでした。
保護者のみなさまには、1年間、大変お世話になりました。本当にありがとうございました。 (終わり)


