休み時間に教室を走り回っていた子がいます。その子に何と言って指導しますか?
「机にぶつかってけがをするかもしれませんよ。危ないからやめなさい。」
そのように指導する方、多いと思います。
休み時間に教室を走り回る――これには、大きく3つの問題があります。
①ぶつかって、けがをする――かもしれない。
多くの教員はこれを理由に指導するでしょう。わたしも、新卒の頃はそうでした。
しかし、仮にけがをしたとしたら、それは自業自得です。走り回った本人が悪いのですから。とは言っても、担任は管理責任を問われるでしょうが。
②ぶつかって、けがを負わせる――かもしれない
こうなると厄介です。けがを負った子には何の落ち度もないのですから。
親が出てきますから、面倒なことになりかねません。
とは言っても、こうなることは稀です。まず、ありません。
ですから、これを理由に指導しても効果はあまり期待できません。
①も②も仮定の話です。それよりも説得力のある理由は
③楽しいことを「勝手にやってずるい」――です。
この指導は、クラス全員がいる前でやります。
まず、自席で立たせます。子どもたちは、その時点で「『危ないからやめなさい』と言われるだろう。」と思うことでしょう。低学年の子でも、そのくらいは考えるはずです。
子どもが予想できる方法で指導しても、効果はありません。代わりにこう言います。
「あなたたちは、ずるいです。」
これを聞いて、子どもたちはキョトンとするはずです。ずるいって、どういうこと? といった感じに。
そのあと、間髪を入れず、クラス全員にこう尋ねます。
「教室を走り回るなんて楽しいよね。先生が『やってもいい。』と言ったら、やりたい人?」
テンションをあげてこう言えば、ほとんどの子が「はい!」と手を挙げ答えます。そこで、
「ほら見てごらんなさい。みんなやりたいのです。でも、きまりだからがまんしているのです。
きまりを守っているみんな、えらいね!
あなたたちは、そのきまりを破り、自分たちだけ勝手に楽しいことをしたのですよ。ずるいと思いませんか。
どうせ楽しいことをやるなら、みんなでいっしょにやりましょう。いいですね。」
――このつづきがあることはあるのですが、それは省きます。
「危ないからやめなさい。」という指導が悪いと言っているわけではありません。しかし、これでは、指導の対象は違反した子だけになります。
そうではなく、クラス全員を巻き込むのです。
そうすれば、「ピンチ」が「チャンス」に生まれ変わります。
ちなみに、この方法、この考え方は、大昔に職場で教わったものです。
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