2023/11/04

休み時間に教室を走り回る子がいたとき

 休み時間に教室を走り回っていた子がいます。その子に何と言って指導しますか?

「机にぶつかってけがをするかもしれませんよ。危ないからやめなさい。」

そのように指導する方、多いと思います。


休み時間に教室を走り回る――これには、大きく3つの問題があります。

①ぶつかって、けがをする――かもしれない。

多くの教員はこれを理由に指導するでしょう。わたしも、新卒の頃はそうでした。

しかし、仮にけがをしたとしたら、それは自業自得です。走り回った本人が悪いのですから。とは言っても、担任は管理責任を問われるでしょうが。

②ぶつかって、けがを負わせる――かもしれない

こうなると厄介です。けがを負った子には何の落ち度もないのですから。

親が出てきますから、面倒なことになりかねません。


とは言っても、こうなることは稀です。まず、ありません。

ですから、これを理由に指導しても効果はあまり期待できません。

①も②も仮定の話です。それよりも説得力のある理由は


③楽しいことを「勝手にやってずるい」――です。

この指導は、クラス全員がいる前でやります。

まず、自席で立たせます。子どもたちは、その時点で「『危ないからやめなさい』と言われるだろう。」と思うことでしょう。低学年の子でも、そのくらいは考えるはずです。

子どもが予想できる方法で指導しても、効果はありません。代わりにこう言います。

「あなたたちは、ずるいです。」

これを聞いて、子どもたちはキョトンとするはずです。ずるいって、どういうこと? といった感じに。

そのあと、間髪を入れず、クラス全員にこう尋ねます。

「教室を走り回るなんて楽しいよね。先生が『やってもいい。』と言ったら、やりたい人?」

テンションをあげてこう言えば、ほとんどの子が「はい!」と手を挙げ答えます。そこで、

「ほら見てごらんなさい。みんなやりたいのです。でも、きまりだからがまんしているのです。

きまりを守っているみんな、えらいね!

あなたたちは、そのきまりを破り、自分たちだけ勝手に楽しいことをしたのですよ。ずるいと思いませんか。

どうせ楽しいことをやるなら、みんなでいっしょにやりましょう。いいですね。」

――このつづきがあることはあるのですが、それは省きます。

「危ないからやめなさい。」という指導が悪いと言っているわけではありません。しかし、これでは、指導の対象は違反した子だけになります。

そうではなく、クラス全員を巻き込むのです。

そうすれば、「ピンチ」が「チャンス」に生まれ変わります。


ちなみに、この方法、この考え方は、大昔に職場で教わったものです。




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学級だより №64