9.「先生、大変です。Bくんがガラスを割りました。」
離任式後、教室に帰るときのこと。
この学校の体育館は2階にあります。教室は同じ2階の先。
ふだんなら、私は子どもたちの先頭を歩くのですが、この時は
「先生は1階の職員室に行って荷物を取ってきます。みんなは教室に行って帰る支度をして待っていてください。」
そう言って、子どもたちと別れました。
そして、教室に行こうと階段を上がっていると、
「先生、大変です。Bくんが理科室のガラスを割りました。」
あわてて行くと──教室のとなりにある理科室の扉のガラスが1枚、見事に割られています。
事情はこうでした。
教室に向かう途中、同じクラスの男子2人が、Bの背中を指でちょっと突いたのです。からかってやろうと思ったようです。
指でちょっと突かれる──たったこれだけの刺激でBはパニックを起こし、そのまま突っ走り、突き当たりにある理科室のガラスを叩いてしまったのです。
Bはちょっとした環境の変化や刺激に敏感です。今回の場合、離任式というBにとって退屈な時間をじっと座っていることにより、ストレスという風船がパンパンにふくれたのでしょう。そこに、指で突かれるという針が刺さり、一気に爆発したわけです。
Bが机の上に乗ったり、大声を出したりするのも、彼なりの理由があるのです。決して、まわりを困らせてやろうなどというものではありません。転入による環境の大きな変化、学級崩壊状態の落ち着かないクラス。これがBをそういう行動に走らせたのです。
3年生になってクラスが変わり、そういった行動に出なくなったのは、Bが変わったからでも私が恐いからでもありません。昨年度と違って落ち着いた明るい環境に身を置くことができたから、大声を出さずにすんだのです。
Bの持って生まれたこの気質は、そう簡単に変えることはできないでしょう。そうであるなら、そういう行動を起こさせないための環境作りや、仮にそういうことがあってもまわりの子たちが馬鹿にしない雰囲気作り、それが大事だと思います。
Bのこの「事件」は、「まだまだぼくのことをしっかり見ていてほしい。」──そういうメッセージに感じられました。
だから、このとき私はBをしかりませんでした。むしろ、指でつついた2人を厳しくしかりました。
そして、クラスの子どもたちには、Bについて
・2年生のときに比べ、朝会などで静かに立つ(座る)ことができるようになったこと。
・離任式では、長い時間、よくがんばっていたこと。
・がんばりすぎて、パニックを起こしたのではないかということ。
この3つを話して聞かせました。そして、最後に「Bのことを怒ったりしないでね。」
みんな、納得してくれたようです。
余談ですが、このとき、Bは全くけがをしませんでした。あれだけ見事にガラスを割ったというのに。 (つづく)
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