2023/12/23

Bくんとの出会い その3

 4.「Rちゃんがかわいそう・・・・」

 それから1週間たち、席替えをしました。はじめの席は、私が決めました。

 Bの席は右の場所にしました。

 
 BのとなりはRという女の子。前年度はBのとなりのクラスだった子です。

 さて、私が席順を発表し、子どもたちがそれぞれの場所に移動したときのこと。

 Rの後ろになったKがこんな言葉をつぶやきました。

「Rちゃんがかわいそう。」

 Kは昨年度、Bと同じクラスだった子です。

 それを聞いて、昨年度のクラスでの立ち位置がわかった気がしました。

 何かと問題行動を起こすB。迷惑を被った子は少なからずいたはずです。そのときの担任も――Bが転入してきたときは教頭に代わり、別の方が担任を務めていました――Bの行動を許すわけにはいかず、注意を重ねていたことでしょう。


5.しかし

 注意をするだけで、事態が改善されるわけはありません。また、全員の前でそれをやり続けていたとしたら、Bは先生から怒られる存在であり、自分たちよりも下の立場だ──子どもたちにそういう気持ちを植えつけてしまいます。

 これではいけません。

 Bは、ほかの全ての子と同じように、このクラスの大事な一員です。そういう立ち位置に立たせてあげなければいけません。そして、それは担任にしかできない仕事です。

 Kの言った一言──「Rちゃんがかわいそう。」──決して発してはいけない言葉です。当然、Bの耳にも入ったことでしょう。

 しかし、これを聞いたおかげで、Bに対する方向性が見えた気がしました。

 とは言っても、見えただけでゴールまでは全く見通すことはできなかったのですが。  (つづく)


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学級だより №64