№ 264 2025年3月18日
その昔、江戸は人口100万人の巨大都市でした。それに対して、お巡りさんの数はわずか30人足らず。それなのに、殺人事件は1年間に1件があったかどうかだったそうです。
どうしてそんなに治安がよかったのでしょうか。
作家でコラムニストの金平敬之助氏は、こう言っています。
「(それは、相手を思いやろうという)しぐさや言葉があったからです。しぐさや言葉が汚いと反発をくいます。それを江戸の人は知っていたから、皆で注意しましょうとしぐさや言葉を教えたのです。
260年間も平和を続けた国が他にどこにあるのでしょう。人間関係を良好にする知恵が、世界最高のレベルに達していたのです。
『お茶が入りました』という言い方がありますね。でも、お茶は勝手に入りますか。『お風呂が沸きました』──お風呂が勝手に沸きますか。ヨーロッパ人だったら、俺が薪を割ったのだ、俺が水を汲んだのだ、と必ず言います。ヨーロッパの人にはノーとはっきり言わないと伝わりません。日本人は、相手に負担をかけないような表現をします。これが奥ゆかしさ、相手を思いやるすごさです。
これに対し──。
『そんなことを言うのは3年早いよ!』『お父さん古いよ!』『この年まで何やってきた!』
このような、相手が何もいえない状態や返事のしようのない言葉を『戸締め言葉』と言います。江戸時代は、これを大変嫌ったのです。
『舌の紡ぎ出す言葉は、どんな切れ味のよい刃よりも猛毒を塗った矢よりも強い』
刀の傷というのは治りますが、言葉の傷は治りません。だから江戸時代には『あいすみません』が多く使われました。理由は濁音がないからです。それほど言葉に神経を使っていたのです。」
ある人は、
「戸締め言葉は、人の和を崩したり、人を傷つける最悪の言葉なのです。特に、家庭で、子どもに対して戸締め言葉を使うと親子の関係も複雑になり、子どもは心を開くことをしなくなります。」
と言っています。
言葉って、大事ですよね。いくら思いがあっても、言葉を発しなければ伝わりません。そして、その言葉次第で、相手の気持ちは良くも悪くもなるというもの。
こういう私自身が「戸締め言葉」をたくさん言っているような・・・・そんな気がしています。反省、反省。
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