「消化」の学習の様子を載せた学級だよりを紹介します。
6年1組学級だより No 80 7月11日
理科では、今、「ヒトや動物の体のつくりとはたらき」について学習しています。その最初の授業で「消化」を扱いました。
はじめに、子どもたちにこんな質問をしてみました。
「みなさんは、食べ過ぎておなかが苦しくなったということありませんか? 何人かいますね。では、そういうとき、どうしたらいいですか?」
これに対して「静かにしている」「横になる」「おなかを温める」「胃薬を飲む」といっ
た答えが返ってきました。
次に、こんな実験をしました。
まず、試験管を用意し、その中に片栗粉をといた水を入れました。これは、「おなかがいっぱいで、消化が進まない」状態を表しています。
そこに、ヨウ素液を1滴たらしました。試験管の中の液体は、見る見るうちに青むらさき色になりました。
この試験管に、胃薬を入れます。薬の名は、「第一三共胃腸薬」。この胃腸薬は、数ある胃腸薬の中で、デンプンを消化する酵素が一番多く含まれています(多分)。
この薬を入れ、よくかき混ぜます。そして、しばらくおくと、液体の色は青むらさき色から薄茶色──胃腸薬の色──に変わっていきました。
デンプンが、酵素の力で別のものに変わったのです。
実験のあと、子どもたちにこんな話をしました。
「デンプンは、水に溶けません。ですから、そのままでは体の中に吸収されません。水に溶けるものに変える必要があります。
第一三共胃腸薬は、デンプンを体に吸収できる糖に変えたのです。
ところで、みなさんは、食事のあといつも胃薬を飲みますか? そんなことはしませんね。ということは、体の中に胃腸薬と同じような働きをするものがあるのかもしれません。」
次回は、「消化液」である、だ液や胃液などの学習をします。
ちなみに、いくら薬を入れたとしても、冷蔵庫などで冷やすと色は青むらさきのままです。温度が低いと酵素が働くなるのです。
「夏、冷たいものをいっぱい飲むと、おなかが痛くなることがありますね。胃や腸の温度が低いと、消化が進みません。おなかが痛くなるのは、そういったことも影響しているのです。」
6年1組学級だより No 81 7月12日
今日も理科についてです。
先日の理科の時間、理科室でビーカーを使ってご飯を炊きました。
ちなみに、このビーカーは、特別なものではありませんが、食品を扱うために別に保管しているものです。実験クラブでも使っています。
子どもたちには、「ビーカーに見えるかもしれませんが、これは“炊飯器”と言います。」と話しました。みんな大笑い。
「炊飯器」のふたは、「アルミホイル」です。
そして、1合ほどの米を入れて水を注ぎ、「はじめちょろちょろなかぱっぱ。・・・・。」
ビーカーは透明なので、ご飯が炊きあがっていく様子がよくわかります。
数分後、おこげのできたおいしいご飯が炊きあがりました。さっそく試食を。
でも、この時間はあくまでも理科。家庭科ではありません。
「食べ方に条件があります。何回も何十回もかみ続けなさい。すぐに飲み込んではいけませ
ん。」
子どもたち、ひたすらかみ続けていきました。そのあと、味の感想を聞いたところ、全員、
「ご飯が甘くなった!」
そこで、
「かんでいると、つば(だ液)とよく混ざるでしょ。そうすると、デンプンが糖に変わるの
です。この前使った、“第一三共胃腸薬”の成分(タカジアスターゼ)と同じような働きをする成分が、だ液の中に入っているのですよ。」
と話しました。薬の成分と同じようなものが体の中で作られていると知らされ、みんなビックリ。
そんな中、こんな質問が。
「先生、その薬って、だ液から作られているのですか?」
第一三共胃腸薬は、だ液を集め、それを固めて作っている──そう思ったようです。まさ
か、そんなことはないでしょうが・・・・一体、どうやって作っているのでしょうね。
さて、実験はまだ続きます。
「ご飯を口に入れ、逆立ちをします。そして、飲み込みます。ご飯はこのあとどうなるでし
ょうか。」
口と胃をつなぐ「食道」。食道は、ただの「管」ではなく、食物を胃に送る働きがあります。
ですから、逆立ちをしてもご飯は、胃に送られます。
では、ご飯のような固形物ではなく、水などの液体は? これも、同じように胃に到達しま
す。
頭ではわかっていても、実際にやってみるととても不思議な感じがします。
だ液を使った実験には、私自身、若い頃から抵抗がありました。
もう30年ほど前になるでしょうか、薬局でたまたま「第一三共胃腸薬(当時は、「新三共胃腸薬」)」が目にとまり、「もしかしたら、うまくいくかも」と思って試してみたところ、上の学級だよりに書いたとおりの結果が出たのです。また、「酵素は温度が低いと働かない」というのを大学の時に教わった記憶があり、冷蔵庫に入れてみたところ、やはりそのとおりになったというわけです。
授業のネタって、案外、いろいろなところに転がっているのではないかと思います。
教科書どおりばかりでは、おもしろくないですよね。
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