「私は何もしていないのに、Aさんがたたいてきました。」
低学年を受け持つと、こういう「苦情」を受けることがあります。
そんなとき、どうしていますか。
よくあるパターンは、はじめに
「Aさん、なぜBさんのことをたたいたのですか。」
と「理由」を聞く、ではないでしょうか。
私は、これはあまりよい方法ではないと思います。
なぜなら、たたいてもよいという理由は存在しないからです。
理由がないのに、理由を聞くのはおかしいです。
さて、
「Aさん、なぜBさんのことをたたいたのですか。」
このように聞けば、子どもは必ずこのように答えるでしょう。「だって。」
「だって、Bさんが『バカ』って言ったからです。」
このように、自分の行為を正当化しようとします。
「なぜBさんのことをたたいたのですか。」と「弁明の機会」を与えられたのですから、当然です。
そして、
たたいてもよい、または、たたいても仕方がないなどという「理由」は、この世に存在しないのにも関わらず、担任の中には、このように言う人がいます。
「それは、『理由』にはなりません。」
「『バカ』と言われたからたたいたなんておかしいです。」
つづいて、
「Aさんは、こういうところがよくありませんでした。そして――、それから――、」
などと長々話し、
さらに、
「相手に謝りなさい。」
たたいたAを「確保」し、「事情聴取」をし、「裁判」にかけ、「謝罪強要」という「判決」まで下す。
つまり、担任は警察と検察、さらには裁判官の役を一人ですることになります。
その間、Aには「弁護人」もつきません。
担任は、そんなに偉くはありません。
などと、偉そうに書いている私も、新卒1年目や2年目の頃はそうしていました。
お恥ずかしい限りです
さて、
かと言って、
「Aさんがたたいてきました。」
という「苦情」を受けた以上、些細な事案であったとしても――些細なことがほとんどですが――聞かなかったふりをするわけにもいきません。
みなさんは、このようなとき、どのようにしていますか? (つづく)
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