「私は何もしていないのに、Aさんがたたいてきました。」
――こんな「苦情」、低学年ではよくありますね。「思い切り」という「枕詞」をつけることもあります。
でも、「何もしていない」などということはまずありません。その子なり(「その子なり」です)の「理由」があるはずです。
それに、いくら低学年だとしても、「思い切り」たたかれたら、あざくらいはできるはずです。
「何もしていない」「思い切り」と言うことによって、自分がいかにかわいそうな被害者であるということを訴えようとしているわけです。
こんなとき、私はよく次のような対応をします。
ポイントは「はい(Yes)」と言わせることです。
まず、Aをよんで、
「Aさん、Bさんのことをたたいたそうですね。」
目撃者がいるので「はい。」と言うしかありません。そこで、
「きちんと認めたことはえらいですね。
ところで、Aさんが人をたたくなんて、よっぽどの理由があったのでしょう。」
「はい。」
「でも、今のAさんなら、たたくのではなく、ほかの方法が思いつくのではありませんか。」
「はい。」
ここで、Aさんがその方法を言えそうなら聞いてみます。その内容が???と思えるものであったとしても、それを受け入れ、「それはなかなかいい方法ですね。」とほめます。そして、
「と言うことは、たたいてしまったこと自体はよくなかったと思っているのですね。」
「はい。」
「それはすばらしい。では、その分だけは謝ることができますね。」
「はい。」
担任によばれたAさん。友だちをたたくなどという「悪いこと」をしたのですから、担任からかなり叱られるだろう――そう思っていたはずです。それに反してほめられたのですから、悪い気はしないと思います。きっと素直に謝罪に応じることでしょう。
たたいた理由は、そのあと聞きます。そして、
「そうかぁ、そんなことがあったのですか。それは怒りたくなりますね。でも、今のあなたなら、これからは同じようなことがあっても、たたいたりなんてしませんよね。」
そう言われれば、もちろん、「はい。」
つづいて、Bさんをよんで、話をします。
このときも、「はい(Yes)」と言わせる質問をするようにします。そして、「ばか」と言ったこと、Bさん自身にも非があったことを引き出すようにします。
最後に、二人をよんで、互いに謝るようにさせます。 (つづく)
0 件のコメント:
コメントを投稿