「いつもお世話になっております。
昨日、うちの娘が『何もしていないのに、○○君にたたかれた』と言っておりました。ご対応、よろしくお願いいたします。」
――低学年を受けもつと、このような苦情(お願い)を受けること、ありませんか。
○○君がたたいた――程度はさておき、これは事実でしょう。しかし、「何もしていないのに」というのはまゆつばものです。子供は(大人も?)自分に都合の悪いことは言わないものです。そして、親もそれを鵜呑みにしてしまいがちです。「○○君って、何てひどい子なんだろう。」――こんな感じに。
そこで、私は いつも5月頃、このような学級だよりを出すようにしています。
「先生、私は何もしていないのに○○君がぶってきました。」
「私は何も言っていないのに、○○ちゃんが悪口を言ってきました。」
子供たちから、こういう「苦情」を受けることがあります。
何もしていないのにぶったり悪口を言ったりするなんて、何てひどい子なんだ・・・・。訴
えてきた子の話だけを聞くと、そういうふうに思えてきます。
しかし、「私は何もしていないのに」ということは、99%ありません。悪口を言いた
くなるようなきっかけがあるものです。
また、その場では「何もしていない」ということもあります。しかし、よくよく事情を
聞いてみると、少し前に何かをされ、それで腹を立ててぶってしまったといったことがほ
とんどです。
トラブルの原因はどちらにもあるわけです。
「親は、自分の子供の話しか聞けないから、大変ですよね。自分の子供から『何もしてい
ないのに、○○君にぶたれた』などと聞かされたら、相手は一体どんな子なのかと思い
たくなってしまいます。でも、子供というのは、自分に都合の悪いことは言ったりしな
いものです。」
──以前、ある先生がこんなことを話していました。
子供は、自分が大変な目にあった、いやな思いをしたということを大人にわかってもら
いたいという気持ちを持っています。「何もしていないのに」という「枕詞」をつけるの
は、その表れです。
ところで、こういう形での訴えは、4月当初に比べ、かなり少なくなりました。トラブ
ルが少なくなったことはもちろんですが、自分にも非があるのにこういうふうに言うのは恥ずかしいことだと感じるようになったのも大きいと思います。 (つづく)
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