2024/05/30

学級だより №41・42

 № 41・42 2024年5月30日


 先週、子どもたちにこんな質問をしました。

「『情けは人のためならず』という言葉があります。聞いたことがある人はいますか?」

 それに対して、手を挙げたのは、3分の1くらいでしょうか。しかし、意味まで正確に知っている子は、一人もいませんでした。

「『情け』という言葉、難しいですね。この場合の『情け』は『親切』と同じ意味だと考えてください。

 では、この言葉、一体どういう意味でしょう。次の2つの中から選んでください。」

    A「親切にしすぎるのは、その人を甘やかすことになるのでよくない。」

    B「人に親切にすることはよいことだ。」

 子どもたちの多くは、「B」と考えました。もちろん、これが正解ですが、大人の中には、「B」ではなく「A」が正解だと思っている人、けっこういるようです。

「この言葉の本当の意味は、『人に親切にすると、それが回り回って自分も親切にしてもらえる。』です。『情けをかけるのは、甘やかすことになるから、その人のためにならない。』と思った人もいるようですが、それは間違いです。

『人に親切にすると、それが回り回って自分も親切にしてもらえる。』ということは、逆に言えば『人の悪口を言ったり、いじわるをしたりすると、最後には自分に回ってくる。』とも言えます。」

続いて、こんな話をしました。


 人間はよいことをすると、よいホルモンが出てきます。このホルモンの名前はエンドルフィンといいます。脳の中に出てきて、よりよい脳にしてくれます。

 困っている人を助ける、友だちのよいところをたくさん言う、みんなのためになること(たとえば、部屋のごみをすすんで拾うなど)をする、笑顔でふるまうなど、よいことをしていると、エンドルフィンが脳の中に出てきます。

 小さい頃、おなかがいたくなったりしたとき、家の人に手でさわっていてもらうとだんだんと良くなってくることってあったでしょう。「手当て」という言葉は、ここからきています。そして、その時もこのエンドルフィンというホルモンが脳の中に出てくるのです。簡単な病気なら、これで治るとも言われています。

 しかし、悪いことをしているとどうでしょう。友だちをいじめる、人のものをぬすむ、悪口を言う、しつこくからかうなど悪いことをすると、脳の中にノルアドレナリンという悪いホルモンが出てきます。実際に悪いことをしなくても、「意地悪してやろう」と思うするだけでも、このホルモンは出てきます。

 このノルアドレナリンは、自然界ではへびの毒と同じぐらい強いと言われています。そんな悪いものが脳の中にちょっことだけ出てくるのです。ちょっことですから、それで病気になることは、ほとんどありません。

 でも、このような悪いことを毎日毎日続けていたらどうなるでしょう。毎日毎日、少しずつ毒が出てくるのです。体に良いわけがありませんね。一度出てしまった毒はそのままですから、くり返していると勉強が覚えられなくなったり、しまいには病気になったりします。 


 これは、20年ほど前にベストセラーになった、春山茂雄氏の「脳内革命」の一部を易しい表現に直したものです。

 ところで、この本に書かれたことについては、事実ではないという人もいるようです。しかし、真偽はともかく、このような考え方――人に親切にすることは大事――をもって生活することはとても大事なことではないでしょうか。

ユダヤの格言に「他人を幸せにするのは、香水をふりかけるようなものだ。ふりかけるとき、自分にも数滴はかかる。」という言葉があるそうです。

 自分が誰かに何かしてあげた時に、その人が心から喜んでくれて、「ありがとう」と言ってくれると、自分も幸せな気分になります。また、自分が誰かのおかげで幸せになることを感じることもあるでしょう。

 子どもたちには、いつも優しい気持ちをもって友だちに接してもらいたいものだと思います。

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