№ 44・45 2024年6月3日
先日のある理科の授業でのことです。
この日は、プリントにモンシロチョウのイラストをかいたり、そこから気づいたことや思ったことを書きこんだりしました。
授業は順調に進み、終了5分前には予定していたことが終わりました。
そこで、
「(机の上に開いていた)教科書とノートを閉じましょう。そして、ロッカーの中にしまってきましょう。」
と、指示しました。
すると、子どもたちは言われたとおりに動き始めたのですが――その動作の何とのんびりしたことか・・・・。
あっちでおしゃべり、こっちでおしゃべり・・・・。中にはまだ授業中だというのに、水筒のお茶を飲み始めた子もいました。
私は、その間、じっと子どもたちのその様子を見ていました。
そして、全員が席に戻ってきたところで
「みなさんに言います。今、机の上に教科書やノートがあるものとします。それを手に持ったつもりでロッカーまで行きなさい。そして、その教科書やノートをロッカーに入れる格好をして、自分の席に戻ってきなさい。どのくらい時間がかかるか計ってみます。
用意始め。」
子どもたちは、私の表情を見て怒っていると思ったのでしょう――実際、怒っていましたが――誰一人おしゃべりをすることなく、素早く行動しました。
「全員が席に着くまでかかった時間は32秒でした。しかし、その前は3分近くかかっていました。つまり、授業の時間を2分以上も無駄にしたのです。
2分もあれば、かなりのことができます。
みなさんは、先生にいちいち『速くしなさい』とか『おしゃべりをやめなさい』と言われなければ、ちゃんとできないのですか。そんなことはないでしょう。
この次からはこんなことがないようにしなさい。わかりましたか。」
この時、子どもたちは、「しまった・・・・。」「まずかった・・・・。」といった顔をしながら私の話を聞いていました。
そのあと、こんな質問をしました。
「みなさんは、先生に迷惑をかけていいと思いますか。それともいけないと思いますか。」
手を挙げて答えてもらいましたが、全員「迷惑をかけていけない」の方に手を挙げていました。
そこで、
「正解を言います。正解は、もちろん、『迷惑をかけていい』です。」
これを聞いた子どもたち、みんなキョトンとした顔。
「みなさんは、まだ8年か9年しか生きていないでしょう。まだまだできないこと、これから覚えていかなければいけないことがたくさんあります。ですから、失敗するのは当たり前。大人に迷惑をかけるのは当たり前です。
みなさんが先生に迷惑をかけないようなら、先生の仕事はなくなってしまいます。
先生の仕事、取らないでくださいね。」
すると、「クスクス」といった笑い声があちらからもこちらからも。
「でも、同じ事で迷惑をかけるようではいけません。それでは成長したとはいえませんから。
どうせ迷惑をかけるのなら、別のことでかけるようにしましょう。」
子どもが大人に迷惑をかけること、それは、ある意味、子どもの仕事の一つであると思います。
また、子どもがかけたその迷惑に付き合うのも、大人の仕事の一つ。
子どもはあっと言う間に成長します。子どもが迷惑をかけてくれるのも、長い人生の中でほんのわずかなひとときです。
そんなふうに思っています。
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