2023/07/29

下敷きを敷く

この頃、下敷きを敷かない子、多くなったと感じます。多分、担任が指導していないのでしょう。

以前、ある学校(高学年)の授業を見に行ったときのことです。
子どもたちの様子を見ると――ほとんどの子が下敷きを使っていなかったのです。
これには驚かされました。
下敷きを使わないと、となりのページに鉛筆のあと(筆跡の溝)ができてしまいます。
また、書いた字が裏に移ってしまいます。

さらに、机の上の教科書や筆箱の位置もバラバラ。
また、名札をつけている子もほとんどいませんでした。
1年生の時にはきちんとしていたはずでしょうが・・・・。
 「水は低きに流れ、人は易きに流れる」という言葉がありますが、指導がなければ下敷きを敷く、名札をつけるなどという面倒なことはしなくなりますよね。

また、以前、受け持ったクラスで、
「下敷きを使わないと、となりのページに鉛筆のあと(筆跡の溝)が残るので、きれいな字が書きづらくなります。
また、書いた字が裏に移って汚れてしまいます。こういうこと、1年生のときに教わったでしょう。」
と言ったところ、みんな「初めて聞きました。」「確かにそうだ。」と驚いていました。
それを聞いた私自身も驚きました。こんなことも教えていないのかと。

2023/07/26

授業参観のネタ ①

 私は、授業参観では「授業参加」と称して保護者にも授業に参加してもらうことにしています(全てではありませんが)。

  1・2年生を受け持った時は ―― 例えば、こんな感じに。

「これから、漢字スキルのコピーをお渡しします。子どもに戻ったつもりで一緒に練習してみてください。鉛筆は、お子さんから借りてくださいね。」
 そう言うと、みなさん、ニヤッとします。
 続けて、このように言います。
「ただし、利き手とは逆の手で書いてください。もちろん、ふざけて言っているのではありません。理由はあとで言います。」
 保護者のみなさんには、机はないので、ロッカーの上で書いてもらいます。
       ――しばらくして――
「どうですか、なかなか思うようには書けないのですよね。私もきれいな字は書けません。
 そして、この利き手と逆の手――これは、低学年の子の利き手と同じようなものです。低学年の子の利き手は、まだまだ発展途上なのです。
 お子さんが宿題をやっている様子を見て、『お手本をなぞるだけなのに、何でこんなにずれたりするんだ。』などと思われたことはないですか。でも、発展途上なのですから、ずれて当然。うまく書けなくて当然です。
 実際にこのように書いてみて、お子さんの気持ち、理解できたのではないでしょうか。
 がんばっているお子さん、偉いと思いませんか。あとで、いっぱいほめてあげてくださいね。」
 このように話すと、みなさん、「うんうん」とうなずいてくれます。

 この実践、おすすめです。機会があったらぜひ!

2023/07/21

けんかの後始末

 「先生、AさんとBさんがけんかをしています。」―― 子どもたちからそのような報告を受けること、ありますね。

その「後始末」の方法、いろいろあると思いますが、私がよくやるものの一つに「点数をつけさせる」というものがあります。

こんな感じに。

ちなみに、これは、昔、先輩に教わったやり方をアレンジしたものです。

 

「先生は、あなたたちがけんかをしているところを見ていません。ですから、どちらがいいとかどちらが悪いとか言うことはできませんし、しようとも思いません。

 そこで、自分に点数をつけてみてください。

 自分に悪いところは全くないと思ったら100点。全部悪いと思ったら0点です。

 どっちもどっちかなと思ったら50点です。

 0点から100点の間で点数をつけてください。 

ところで、二人に聞きますが、100点満点と言うことはないですよね。0点と言うこともないですよね。」

 二人揃っているところでこのように聞かれたのですから、自分は全く悪くないとは言えません。この質問をすると、ほぼ100%うなずきます。 

 そして、

「では、点数を教えてください。まずは、Aさん。」

 すると、Aさんは

「60点です。」

などと答えます。そこで、

「えっ! と言うことは、Aさんは、40点も悪いと思っているのですね。自分に厳しいですね。さすがです。では、あとでその40点分、謝ろうね。」

と言います。

 子どもは叱られると思っていたのに、ほめられたのですから、悪い気はしません。当然、「はい。」と答えます。

 Bさんにも同じように質問し、減点した分だけ謝るよう促します。 

 そして、

「では、お互いに謝りましょう。」

 すると、

「ごめんね。」「いいよ。」

「ごめんね。」「いいよ。」

となります。 

 その際、

「○○してしまってごめんね。」

などと、やった行為まで言えたら、それもほめます。 

 そして、「お互い、きちんと謝ることができてえらかったですね。あなたたちなら、もうこんなこと、しませんよね。」

と言って、終わりにします。 

 ところで、

なぜ、けんかがおきたのか、その理由を知りたいときは、互いの謝罪が終わり、クールダウンしてからにします。

「ちなみに、聞きたいのですが――どうしてこうなったのですか。」

 その時は、二人とも落ち着いているので、冷静に話をするはずです。

「そうかぁ、そんなことがあったのですか。それは怒りたくなりますね。でも、今のあなたたちなら、同じようなことがあっても、これからはけんかなんかしませんよね。」

 

 もう一つ、

 点数を聞くときには、プライドの高そうな子をあとに回すのがポイントです。

 先に聞かれた子が「60点」と言って40点分ほめられたら、プライドの高い子は必ずと言っていいほど、60点よりも低い点数を言います。なぜなら、その方がたくさんほめてもらえるからです。

  それにしても、

 子どもはえらいですね。けんかをしても、そのあとすぐ仲良くすることができますが、大人はなかなかできません。表面上は取り繕っても、心の中では・・・・ということ、よくあると思いませんか?

2023/07/17

文章の書き方について その4

 前回の続き――最終回です。

 学級だよりや指導案、あゆみの所見などを書くとき、気をつけていることがもう一つあります。

 それは、「修飾語を直前に置く」ということです。

 例えば、

①彼はすべて人生が狂ったのは、病気のせいだと考えるようになった。

②彼は人生が狂ったのは、すべて病気のせいだと考えるようになった。

 ①と②、どちらがわかりやすいですか。明らかに②ですよね。

「書いている人は、全ての関係を分かっています。だから、つい、思いついた順に書いてしまいがちです。しかし、読む人は何も知らないので、書かれた順に言葉を受け止め、理解するしかないのです。」

(阿部絋久 「簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック 文章力の基本」より)


「修飾語は、被修飾語の直前に置くと読みやすくなるよ。」

 私は、一緒の学年を組んだ方の所見を読ませてもらった後、いつもこのようなアドバイスをすることにしています。                   (終わり)

2023/07/15

文章の書き方について その3

 前回のつづきです。

「総面積5万坪の我が社の工場は、今から25年前、社長が32歳の時、画期的な基本技術を見出し、わずか5坪のプレハブの実験室で開発を始め、それを2人の仲間が支えて製品化に成功し、その後急成長した結果、生まれたものである。」

 言いたいことは何となくわかるような気もしなくはないのですが、わかりづらいですね。

 これを短く区切ってみてください。

 前回の例文を初級とすると、これは中級レベルです。

 みなさんなら、どう修正されますか?

 これを、こんなふうにしてみたらどうでしょうか。

「今から25年前、社長が画期的な基本技術を見出し、わずか5坪のプレハブの実験室で開発を始めた。32歳の時であった。それを2人の仲間が支えて製品化に成功し、その後急成長を遂げた。現在の工場の総面積は5万坪に達している。」

(参考文献:阿部絋久著「簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック 文章力の基本」)


 わたしは、あゆみ(通知表)や要録の所見、学級だよりなどを書くとき、1つの文を短くするということ、つねに意識するようにしています。           (つづく)



2023/07/12

文章の書き方について その2

 前回のつづきです。

「最近、あるコンビニは、店舗内で焼き上げたパンの販売を始め、自然志向・健康志向の製品を中心とした品ぞろえは、従来のコンビニとは一線を画したものであり、20代、30代の女性をターゲットに新機軸を打ち出している。」

 上の文、長いですね。読んでいて疲れてきます。

 阿部絋久さんの言葉を借りれば「一度にたくさんの情報を運ぼうとする」からいけないのです。

 上の文章を下のようにすれば、すっきりします。

「最近、あるコンビニは、店舗内で焼き上げたパンの販売を始めた。自然志向・健康志向の製品を中心とした品ぞろえは、従来のコンビニとは一線を画したものである。20代、30代の女性をターゲットに新機軸を打ち出している。」

 1つの文で運ぶ情報は1つ――これを基本にしたいですね。

(参考文献:阿部絋久著「簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック 文章力の基本」)

 ところで、長い文、疲れる文を書くのは、子どもだけではありません。

 われわれ教員も、そういう傾向にあります。

 それを特に感じるのは、指導案の「指導観」や「児童観」。

 また、指導書やネットなどに載っているものをコピペしてつなぎあわせたと思われるものもとても多いです。

 何を伝えたいのか、全くわからない――そういう指導案、けっこうあります。

 文章はなるべく簡潔に、そして、「自分の言葉」で書きたいものです。       (つづく)

2023/07/08

文章の書き方について その1

 今日から何回かに分けて、文章の書き方(?)について投稿していこうと思っています。

「1つの文はなるべく短くなるようにしましょう。」

 子どもたちに作文などの指導をするとき、よくこのようなことを言いますよね。

 では、なぜ、短い方がいいのでしょうか。

 阿部絋久さんは、自著の中で、こう述べています。


「英語などの西欧語は述語(結論)が早い段階で登場しますが、日本語は多くの場合、それが文末にきます。ですから、1つの句点が終わった後に、書かれたことを全て記憶したまま次の句点までこなければ、意味が取れなくなってしまいます。だから、長い文章は頭が疲れるのです。

 英語はまた、最初に文章の主要な骨組み(幹)を示し、補足的な説明は関係代名詞などを用いて後にどんどん付け加えていくことができます。ですから、文章が長くなっても読み手に記憶の負担をかけることがあまりありません。

 このような特徴を考えると、日本語の場合には特に「短く言い切る」配慮が必要なことが分かります。

      (「簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック 文章力の基本」より)


 阿部さんは、この本の中で「一度にたくさん(の情報を)運ぼうとしない。ときには、一部を運ぶのをあきらめる。」とも述べています。                      (つづく)


2023/07/05

授業規律について その6

 「授業規律」で大事にしていること

例えば・・・・


⑨ 担任自身がおもしろいと感じる授業を展開するよう心がける

「教科書通り」を疑う

東京大学大学院准教授の村上祐介さんは、このように言っています。

小学校に広がる謎ルール「スタンダード」とは何か~教員と子どもを縛る教育システム

最近の教員を見ていると、あまり自分で考えないという傾向が強まっていると感じま

す。「スタンダード」にしても「なぜこういうルールがあるのか」と聞かれて、「上が

決めたことだから」「伝統なので」としか答えられないことが多いのではないでしょう

か。教員自身が多忙で余裕がないため、「スタンダード」のようなものがあると、むし

ろ「考えなくてすむから楽だ」と思ってしまうのかもしれません。また、今の日本の学

校現場は上意下達の組織という面が強まっており、教育委員会や校長の指示は基本的に

受け入れるという流れになっていることも影響していると思われます。

「スタンダード」がはらむ問題は、日本の教育界が抱える矛盾でもあります。近年、国

際的な経済競争に勝ち残るためという名目で、言われたことをやればいいというのでは

なく、「自ら考え、自ら学ぶ」という主体的な学びが要求されています。国が定める新

学習指導要領にも、「主体的・対話的で深い学び」という目標が記されています(小学

校では2020年度から実施)。

しかし、「自ら考えない」教員が子どもたちの自ら考え自ら学ぶ能力を育むことなど

できるはずがありません。マニュアル的な内容が多い現行の「スタンダード」は、「と

りあえずスタンダードを守っていればいい」ということにつながりかねず、教員の考え

る力を削ぐという点で非常に弊害が大きいと言えます。

「自ら考えない」教員が子どもたちの自ら考え自ら学ぶ能力を育むことなどできるはず

がない――その通りですよね。

教科書通り教える、教科書に書いてあるから教える――果たして、それでいいのでし

ょうか。おもしろい授業になるでしょうか。  (この回 終わり)

学級だより №64