「発表してくれる人、いませんか?」のつづきです。
先日、お伝えしたような取り組みをしても、手を挙げない子はいます。だいたい、この程度の取り組みで全員が手を挙げるようになったら楽なものです。
その次は、このようにして「追い込む」ようにしています。
「(ノートに書いた感想を)発表しましょう。」
こう言っても手を挙げない子がいたら、いったん、全員の手を下げさせます。
そして、
「今、手を挙げなかった人は、ノートに何も書いていないのですか。
手を挙げないのは、何も書いていませんと言っているのと同じことです。でも、そんなはずはありませんね。」
と言って、子どもたちを見回します。すると、手を挙げなかった子はバツの悪そうな顔をします。
そこで、間髪を入れずに
「では、発表しましょう。」
このようにして、手を挙げることは当たり前のことにするようにします。
さて、以前受け持った子に、場面緘黙の子がいました。家では話すことができるようですが、人前では全く話すことはできません。
それでも、その子は、授業中、よく手を挙げていました――手を挙げるようになりました。
きっと「自分は(担任の出した)問題に答えられる。」――その意思表示をしたかったのでしょう。
もちろん、仮にその子を指名したとしても――したことはありませんが――答えることはできなかったと思いますが。
それでも、その姿勢はとてもうれしく感じました。
そのことを保護者に伝えると、
「昨年まで、手を挙げることなど全くありませんでした。」
と、驚くと同時に、大変感激されていました。
みんなで討論をし、学習が進んでいく――そういう授業はなかなかできるものではありません。
でも、いつも決まった数人の子だけが手を挙げ、いつも決まった数人の子だけが発言をする――そういう授業だけはさけたいものです。